Column

資金調達ラウンドにおける「シリーズA」の資金調達のポイント

会社経営をしていると、起業時や成長期など状態や時期に寄らず、安定的に資金調達ができることが事業の成功に直結します。このコラムでは、「シリーズA」と呼ばれる起業後の段階に着目して、その時期特有の事情や、適した資金調達方法をまとめていきます。

資金調達ラウンドにおける「シリーズA」とは

「シリーズA」とは起業後に事業が本格化した時期で、「エクスパンションステージ」とも言われます。すでに事業が始まっていることから商品やサービスが認知されはじめ、新しいアイデアであれば注目を集めている時期とも言えるでしょう。

事業展開や市場の評価も見えてきていますから、シード期やアーリー期に比べるとかなり資金を得やすい特徴があります。

以下に企業の資金調達ラウンドについて詳しく書いたコラムがあるので、ぜひご参照ください。
「資金調達ラウンドについて解説!時期別のおすすめ資金調達も紹介」

シリーズAの資金調達の特徴

ここではまず、シリーズAの時期に見られる資金調達の特徴を記載します。

調達目標となる資金額

シリーズAは会社自体や商品、サービスの認知が進んでいる状態です。この段階では、優れたビジネスモデルや商品を提供しているとしても、まだ特定分野で突出した存在とは言えません。そのため、比較的順調であっても、事業を伸ばしていくための資金が必要です。また、起業時の予想よりも伸び悩んでいるようであれば、マーケティング手法の変更や設備投資、人的補強など、多方面での資金投入が必要かもしれません。

そのため、この時期には数億~数十億円の資金調達が必要となる例は少なくありません。もちろん、業種や事業形態によって必要な資金は大きく異なりますが、ぜひ冷静な分析をして資金調達に取り組みましょう。

シリーズAの資金調達の懸念

シリーズAの時期にはそれ以前より事業を評価されやすくなっているので、資金調達しやすいメリットはあります。とはいえシード期などに比べると、実際に事業が動いているので必要となる金額が大きいことが懸念点です。

金額が大きければ資金調達にかかる時間も増えますし、大きな融資を受ければそれ以後は返済をしっかり考えていく必要があります。株式発行によって資金を得る方法もありますが、特定の投資家が多くの株を保有すると経営上の決定権に影響が生じます。

例えば株式の1/3を持つ投資家は株主総会での特別決議を拒否できますし、1/2以上を持つ投資家なら普通決議を単独で行えるようになります。また2/3を超えて株式を保有する投資家は単独で特別決議することが出来ますから、経営上の自由度は著しく阻害されます。

これらのことで、優良そうに見える企業でもシリーズAの段階でつまずいてしまうことも少なくありませんから、この段階では社内外に信用できる相談相手がいることが必須です。

シリーズAの資金調達で見込んでおくべき必要期間

前述したように、シリーズAでは事業や会社の認知度が上がることで資金調達はシード期やアーリー期よりしやすくなると言われていますが、必要となる金額も大きくなるので油断できません。そのため、足りなくなってから資金調達に取り組むのではなく、半年程度の期間を考えながら、常に先手を打つことが重要です。

シリーズAの資金調達手段

ここでは、シリーズAのタイミングで利用しやすい資金調達手段を紹介します。

種類株式の発行

起業が株式を発行する場合、その株式に条件を付けることが出来るように会社法に定められています。株式の種類には余剰金の配当の優劣を定めるものや、株主総会での議決権の制限などの違いが9種類も存在します。

シリーズAのようなスタートアップから間もない時期には、普通株主よりも優先的に残余財産の分配を受けられる優先株式が発行される例が見られます。

優先株を発行すると、企業側は配当コストが多くかかるデメリットはありますが、議決権の制限ができる利点があります。また、投資家にとっては優先的に配当が得られるので、増資したい企業に答えて投資を考えてくれる率が高まるのです。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルは有望なスタートアップ企業に投資する会社で、億単位の投資をすることも少なくありません。投資の見返りに株式を取得し、対象企業の成長後に株の売却益でハイリターンを狙うことが一般的です。

ベンチャーキャピタルの投資を受けることは、事業が高評価されたと証拠と言えるので、別の投資や融資につなげられる利点もあります。また、ベンチャーキャピタルが経営ノウハウを提供してくれたり、取引先を紹介してくれたりすることもあります。

一方、経営に干渉される可能性があることや、ベンチャーキャピタル側が株式の売却益を得にくいと判断した場合、取得株の買取を迫ってくる可能性があることなどがデメリットと言えるでしょう。

コーポレート・ベンチャーキャピタル

スタートアップ企業に投資する点はベンチャーキャピタルと同様ですが、異なるのは求める成果です。ベンチャーキャピタルがキャピタルゲインを求めるのに対して、コーポレート・ベンチャーキャピタルは投資先と連携することによるシナジー効果を狙います。投資する側としては投資先が成長するまでに時間がかかりますが、有望なベンチャー企業と少ない手間で提携でき、自社で新プロジェクトを立ち上げるより低リスクです。

投資を受ける側としては、投資してくれる会社のネームバリューで自社の認知度を上げながら資金調達ができます。

その一方で、投資した会社のカラーが強くなったり、経営の自由度が下がったりする点には注意が必要です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は政府が出資している金融機関なので安心感があります。新期起業に融資する「挑戦支援資本強化特例制度」もあり、4,000万円までの融資を無担保・保証人無しで受けられる可能性があります。また、一般の金融機関より金利が少ない利点もありますが、審査に時間がかかる点は考慮しておきましょう。

銀行

アーリー期に比べると銀行融資も受けやすくなりますが、それでも実績重視の銀行からは大きな融資は受けにくいかもしれません。

しかし、近年は地方銀行が地元の起業家を応援する傾向は強まっていますから、まずは融資の窓口に相談してみましょう。投資家に対しては先進性やインパクトが大切ですが、銀行は確実性を重視する点を忘れないように指定ください。

ブルック・コンサルティングがサポートできること

ブルック・コンサルティングは企業の経営改善・資金調達のサポートを得意としています。
融資を受ける際のサポートや、補助金・助成金の書類作成、すでに売掛金があればファクタリングのお手伝いもできます。

シリーズA以降の高額な資金調達サポートは難しい場合が多いですが、相談にはていねいに対応していますので、資金調達にお困りであればブルック・コンサルティングにご相談ください。

まとめ

起業から事業開始に至ったシリーズAのタイミングの特徴を紹介し、使いやすい資金調達方法をまとめました。アーリー期に比べると資金調達しやすくなっていますが、まだ事業が波に乗っていないので、資金調達の方法をできるだけ多く模索することがこの時期には非常に重要です。

ブルック・コンサルティングは、シリーズA以降の高額な資金調達には対応しにくい場合もありますが、補助金や助成金のサポートなども得意としていますので、ぜひお気軽にご相談ください。