Column

運送会社(運送業)を開業するのに必要なものとは?資金調達方法も解説

近年、ネット通販需要の拡大により運送業のニーズも上がっているため、新たに運送業に参入して開業しようと考えている人は少なくないでしょう。このコラムでは、これから運送会社を開業する人に向けて、必要なものや資格、資金などを徹底解説していきます。

また、運送業を開業するときに個人と法人のどちらが良いのか?という疑問にも丁寧に答えます。これから運送業を始めたい人に役立つ情報が満載なので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

運送会社(運送業)開業に必要なモノ一覧

この項目では、まず運送会社を始めるときに必要なものを列挙し、それぞれの要素について、法的根拠や必要性などをわかりやすく解説します。

①資本金

どんな事業でも、起業するに当たって必要なものの代表は「お金」でしょう。その中でも、株式会社として起業する場合はまず資本金が必要となります。

資本金とは、会社運営を行う上で手元にある資金のことを指しますが、実は法的には1円でも良いことになっています。そのため、ある意味ではほとんど考える必要が無いとも言えます。

とはいえ、資本金が大きければ取引先に信頼度が高いことを明示できるメリットがあります。また、実質的な運用費用が乏しければ会社経営も行き詰りやすいですから、開業にかかる費用と利益が得られるようになるまでの運転資金をあらかじめ考えて、開業の準備を始めることをおすすめします。

一般的に開業時の資本金は300万円程度が平均的と言われていますが、運送会社に必要な開業資金については、次の項目で詳しく解説します。

②開業資金

ここでは、運送会社を開業するために必要な資金を細かく解説していきましょう。

・車両費
運送会社を開業する際は、最低5台の車両を保有していることが条件とされています。この5台には軽自動車は含まれませんが、バンなどを含めても良いので、必ずしもトラックが5台必要というわけではありません。そのため資金が潤沢でない場合、小型バンを含めたり中古車を利用したりするなど工夫しましょう。

一般的に車両費に必要なのは600万円~1,000万円程度が目安と言われています。

・物件取得費
物件取得費とは、一般的には建物や土地にかかる費用を指しています。運送会社であれば事務所機能だけでなく駐車場も必要なので、それなりの費用を確保しなければなりません。個々の要素は後述しますが、費用的には50~600万円程度は必要と考えておきましょう。

・運送保険費
運送業では、預かった荷物に損傷を与えるリスクが付きまといますから、運送保険への加入は欠かせない要素です。運送保険の相場は1年ごとに20~50万円程度が相場とされています。保険料は補償範囲や支払限度額の設定で変わるので、しっかり保険会社と相談して内容を検討しましょう。

・事務所什器・備品代
什器とは一般的な事務所や店舗に必要な家具や道具を指します。運送会社の場合、事務所の机や棚、パソコン等のほかに、荷物を固定するためのラッシングベルトやパレットなどが必要となる場合もあります。また、規模によってはフォークリフトやクレーンなども考える必要があります。小規模の会社でも10~20万円程度は必要でしょう。

・設立登記費
会社が成立するためには登記が必要で、株式会社であれば認証手数料や登録免許税で20万円程度の費用が必要です。また、合同会社の場合でも10万円程度は必要と考えておきましょう。

ここまで紹介した費用の合計を記載します。
車両費…600~1,000万円
物件取得費…50~600万円
運送保険費…20~50万円
事務所什器・備品代…10~20万円
設立登記費…10~20万円

合計…700~1,700万円

上記に示すように、小規模でも運送会社を開業する場合は、700~1,700万円程度は必要と考えてください。また、この金額はあくまでも目安として、面倒でも個々の条件を踏まえた試算を丁寧に行うと、開業後の不安を少なくすることができます。

資本金・開業資金を集める方法

資本金や開業資金を考えると、手元のお金だけでは厳しいという方もいらっしゃるでしょう。そんな時は、国が運営する省庁や地方自治体などが交付する助成金や補助金を利用することをおすすめします。

公的機関の助成金・補助金は返済義務が無いため、上手に利用すれば開業時の負担を劇的に少なくできます。

助成金・補助金については当コラム後半に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

③事務所

運送会社では、荷物の運搬予定やドライバーの人事面などを管理するために事務所(営業所)の存在が欠かせません。費用的に厳しければ自宅を事務所として利用することも可能です。

運送業の許可を得るためには、事務所や営業所と駐車場の距離は10km以内(地域によって違いあり)とされていますが、事業の効率を考えれば駐車場と隣接している物件がおすすめです。

また、都市計画法という法律によって、事務所の建物が「市街化調整区域」に存在しないことも定められています。

さらに、運送業許可ではドライバーの休憩所機能の確保も必須とされています。確保すべきスペースは1.2㎡/人なので極端に広いスペースを必要とするわけではありません。休憩所は事務所の一角を仕切って設置することも可能なので、独立した建物や部屋でなくても構いません。

④駐車場

運送会社を開業する場合、駐車場は必須です。法的に最低5台の駐車を考えなければなりませんし、車両の清掃や整備、運送の準備などを考えればそれなりのスペースを確保する必要があります。

また、安全上の理由から、駐車場の出入り口が交差点の角部に存在しないこと、横断歩道や道路の角部から5m以上離れていることが定められています。さらに、駐車した際に車両同士の間隔が50cm以上離れることも定められているので、注意して物件を選びましょう。

⑤トラック等の貨物車

運送業の許可を得るには5台以上の車両を確保している必要があります。5台すべてがトラックである必要はなく、軽自動車を除く小型バンも含むことが可能です。

ただし、この5台については売買契約書を提出する必要があるので、レンタカーを含めることはできません。しかし、リースであればリース契約書を提出することで5台に含めることができます。

⑥運行管理者・整備管理者の資格

運行管理者とは、運送業を行う際に荷物運搬のスケジュールを管理する役割を担う人です。車両が30台未満の会社であれば最低一人の運行管理者が必要です。

運行管理者は、資格試験に合格するか、5年以上の運行管理実務を経験したうえで既定の講習を受けるか、どちらかの条件を満たさなければなりません。

整備管理者自体の資格はありませんが、自動車整備士の資格を有しているか、自動車整備の実務を2年以上経験したうえで既定の講習を受けていることを要求されます。

なお、同一事務所(営業所)であれば運行管理者と整備管理者を兼ねることはできますが、運行管理者はドライバーを兼ねることはできません。

⑦ドライバー(社員・派遣社員等)

運送会社を開業する場合、ドライバーを最低5人以上確保する必要があります。この場合、最低人数5人は正規社員でなくても良いことになっています。

ただし、派遣、出向、パート、アルバイトの人を雇用する場合、少なくとも2ヶ月以上の雇用契約を交わす必要があります。また、一部の例外を除いて、健康保険や厚生年金、雇用保険や労災保険に加入する必要もあるので注意してください。

これらの要件を満たしていないと、罰則を受けたり事業許可を取り消されたりすることもあるので、法令の順守を徹底しましょう。

運送業開業は個人と法人、どちらがおすすめ?

運送業を開業する際は個人と法人の選択肢があります。ここでは、両方の場合のメリットや注意点を記載しますので、どちらを選択するかの検討に役立ててください。

個人で運送業開業するメリット・注意点

個人で運送業を開業することは可能ですが、車両はいわゆる「緑ナンバー(営業用)」である必要があります。白ナンバーは個人の物品、自社の物品を運ぶことはできますが、顧客の荷物を有償で運ぶ運送業には利用できません。

個人で運送業を開業する場合、法人格を取得する必要が無いので初期費用を抑えることができます。また、登記にかかる手間もないので煩雑な手続きが少ないのも個人で開業する際のメリットです。

一方、個人で開業する際には注意点もあります。まず、信頼性が低いことから開業時の資金融資を得にくいので、開業資金や運転資金などは事前に貯めておく必要があります。また、顧客からの信用も確保しにくいので、仕事を安定的に確保するための事前の準備が欠かせません。

さらに、個人開業というとトラック1台あれば始められると考えるかもしれませんが、運送業許可を得るには最低5台の車両や5人を雇用することなどの要件を満たす必要があります。

そのため、費用が抑えられると言っても、法人化にかかる10~20万円程度の差であることは認識しておきましょう。

法人で運送業開業するメリット・注意点

法人で運送会社を開業する場合は、個人開業に比べると法人格を得るための費用と手間を必要とします。

しかし、法人であれば融資が受けやすいことや、顧客の信用を得やすいことなどの大きな利点も存在します。また、法人として税制優遇の制度を利用できることが多いのも企業化することならではのメリットです。

フランチャイズに加盟するという手もあり

フランチャイズに加盟すれば、個人事業ではあっても初期費用を抑えやすいという大きなメリットがあります。また、大手のブランド力を利用できることや、本部から経営や事業運営のノウハウをレクチャーしてもらえるなどの利点があります。そのため、「個人で事業を営んでいけるかわからない」という人や、「法的なこと、許可の取得などが苦手」という人の不安をカバーできる魅力があります。

フランチャイズでの開業にも注意点はあります。まずさまざまなサポート受けることに対するロイヤリティを払う必要があるので、どの程度の業務量でいくらくらいの収入を得られるかはしっかり確認しておきましょう。

また、指定の車両を使うことなどを支持されることもあり、本部規定をしっかり見極めておくこともフランチャイズ利用の注意点です。

ブルック・コンサルティングがサポートできること

運送会社を開業する際に、多くの方が気になるのが資金の準備でしょう。資金調達を得意とするブルック・コンサルティングは、新たに開業する人を助成金や補助金の面でサポートすることができます。

助成金・補助金は国の省庁や地方自治体が運営していて、貸付と違って返済の必要が無いという大きなメリットがあります。開業時にはさまざまな悩みや不安があるかと思いますが、返済不要な助成金や補助金を上手に利用することで、経営の負担は大きく軽減できるでしょう。

ただし、助成金や補助金を利用するには公的機関に多数の書類を出す必要があるため、面倒に思う方も少なくないと思います。そんな時は、ぜひ助成金や補助金の知識を豊富に持つ、ブルック・コンサルティングにお任せください。

まとめ

運送会社を開業する際に必要なものや用意すべき資金などを紹介しました。また、個人、法人、フランチャイズなど開業の形態によるメリットと注意点も記載しているので、これから運送会社を開業しようという人はぜひ参考にしてください。

運送業を開業する場合は、さまざまな許可を得ることや車両を用意することなど多くの要素があります。その中でも、多くの経営者にとって不安を感じるのは資金の準備ではないでしょうか?

コラム内でも記載したように、新規開業時には国の省庁や地方自治体が運営する助成金や補助金を上手に使うことで新たな事業を軌道に乗せやすくなります。助成金や補助金は借り入れと違って返済の必要が無いからです。

「助成金や補助金を利用したいけど、書類作成が苦手」、「資金繰り以外の事業の準備に集中したい」と思う人は、ぜひブルック・コンサルティングにご相談ください。ブルック・コンサルティングは助成金や補助金を利用するための知識を豊富に持っており、多数の運送業開業をサポートしてきた実績もあります。

常に新しいことに挑戦し続ける
コンサルティングファームです。

ご相談のご予約はこちら