経営者にとって、事業開始直後は業績が無いことから資金調達が難しい実情があります。このコラムでは、まず資金調達ラウンドの区分を説明したうえで、創業初期であるアーリー期の特徴と資金調達方法をわかりやすく解説していきます。
これから起業する人、起業直後で資金調達に苦労している人は、ぜひ参考にしてください。
資金調達ラウンドにおける「アーリー期(アーリーステージ)」とは
そもそも「資金調達ラウンド」とは、起業段階から会社が成長していくステージごとに、適した資金調達方法が変わっていくことを示す言葉です。
業績が未知数である起業前の段階と、成長期、安定期では投資家や金融機関の融資担当者の見方は異なりますから、段階ごとに適した資金調達方法を知っておくことは、これから起業する経営者の必須知識と言えます。
資金調達ラウンドは、起業前の「シード期」、起業直後の「アーリー期(アーリーステージ)」、業務を開始して成長が始まる「シリーズA」、事業の流れが出来てきた「シリーズB」、業績安定化を達した「シリーズC」の5段階に分けることが出来ます。(資金調達ラウンドの分け方は人によって異なる場合があります)
以下に企業の資金調達ラウンドについて詳しく書いたコラムがあるので、ぜひご参照ください。
「資金調達ラウンドについて解説!時期別のおすすめ資金調達も紹介」
アーリー期(アーリーステージ)の資金調達の特徴
この項目では、アーリー期(アーリーステージ)における資金調達の特徴を説明します。
調達目標となる資金額
会社の規模、業種にもよりますが、アーリー期に必要とされる資金は2,000~5,000万円とも言われます。使途としては人件費や設備投資費などがメインで、製造業であれば材料費も必要でしょう。
とにかく構想段階、準備段階であるシード期とは異なり、実際に事業を開始しているわけですから、人件費や事務所経費などがどんどん出ていきます。その一方で、この段階で大きな収益をあげられる企業は少なく、赤字がしばらく続く可能性があります。
アーリー期の資金調達の懸念
アーリー期はすでに会社としての形はできているので、時間と共にお金はどんどん出ていきます。しかし、業績がまだ少ないことから、潤沢な資金を得るのは難しいのがアーリー期の最大の特徴です。そのため、興味を示してくれる投資家の数も限られますから、自社のビジネスがいかに有効であるかを具体的に示して、少ないチャンスを獲得することが会社の命運を分けます。
また、この時期に焦って株式を出し過ぎると、ベンチャーキャピタルは興味を失って離れてしまう可能性もあります。
アーリー期の資金調達で見込んでおくべき必要期間
融資を受ける場合、アーリー期には業績が少ないことから審査に時間がかかりがちです。また、スタートアップ時期であれば使いやすい補助金や助成金もあるので、こちらも見逃せない存在ですが、やはり審査に数ヶ月の時間がかかることは見越しておくべきです。
アーリー期の資金調達手段
ここでは、アーリー期に活用しやすい資金調達手段を紹介していきましょう。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルは、有望と思われるスタートアップ企業を中心に投資を行う投資会社で、ある程度の規模を持つことが多いので億単位の投資を受けられる場合もあります。
投資に対する見返りとして株式を取得し、投資先であるスタートアップ企業が成長した後に株の売却益を得るという方法を取ることが一般的です。
銀行などの金融機関からの融資とは異なり、投資された金額を返済する必要はありません。また、ベンチャーキャピタルから投資されていること自体が事業を評価されたと言えるので、この点をアピールして別の投資や融資につなげられる利点もあります。さらに、ベンチャーキャピタル側は投資した企業に成長してほしいですから、経営ノウハウを教えてくれたり、事業提携先を紹介してくれたりと多数の利点があります。
デメリットとしては、経営に干渉されて自由な手腕が振るいにくくなること、ベンチャーキャピタル側がキャピタルゲインを得にくいと判断した場合、取得した株の買取を迫ってくる可能性があることなどがあげられます。
エンジェル投資家
アーリー期でも投資をしてくれる個人投資家です。個人なのでベンチャーキャピタルのような億単位の投資は望めませんが、数百~数千万円の投資を受けることは可能です。出資したスタートアップ企業が成長することで株式から利益を得ることを目的とする場合もありますが、起業家として特定の分野で新たな企業を育てた業績を残したい人もいます。
エンジェル投資家は、基本的に何らかの分野で成功した人やもともと資産を多数保有している人なので、人脈を広げることや経営ノウハウを学べることなど、多くのメリットがあります。
その一方で、組織ではなく個人対個人の付き合いになることが多いので、相性を見極めることは重要です。また、経営に口出しされて自由が利かなくなることもあるので注意が必要です。
日本政策金融公庫
日本政府が出資している金融機関なので、起業時にも融資を受けられる可能性は少なくありません。新規開業者などを対象に融資を行う「挑戦支援資本強化特例制度」もあり、4,000万円までの融資が担保・保証人無しで受けられるのはアーリー期の企業にとって大きなメリットでしょう。この金額は負債ではなく自己資本として扱えるので、起業としての信頼度アップや新たに別の融資を受ける際にもプラスに働きます。
利用を考える場合は、融資なので返済の必要があること、融資までに時間がかかることなどを注意してください。
銀行
アーリー期の企業は、実績が少ないことから銀行からの融資を得やすいとは言い難い傾向があります。
しかしその一方で、近年の地方銀行は地元の起業家を積極的に応援する傾向が強くなっています。地域経済を守ること自体が地方銀行のメリットになりますから、有望な新規企業であれば融資以外にも取引先のマッチングに協力してくれる例もあります。そのため悲観することなく、まずは銀行の融資窓口に相談してみましょう。
補助金・助成金
新規企業の成長は国や地方自治体も応援していますから、シード期やアーリー期に利用できる補助金・助成金は少なくありません。補助金や助成金は基本的に返済の必要が無いので、経営がまだ安定しないアーリー期にはありがたい存在です。ぜひ自社に該当する補助金や助成金がないか確認してみてください。
ただし、年度単位の事業として募集している例が多いため、募集期間や総額、件数などが決まっているものも多いことが難点です。出来ればシード期から使える助成金や補助金をチェックしておくことをおすすめします。
ブルック・コンサルティングがサポートできること
ブルック・コンサルティングは企業の経営改善・資金調達のサポートを得意としています。アーリー期の企業にも丁寧に対応しており、過去にも資金調達に協力できた例が豊富にあります。融資を受ける際のサポートや、補助金・助成金の書類作成、すでに売掛金があればファクタリングのお手伝いもできます。
資金調達にお困りであれば、アーリー期でも遠慮なくブルック・コンサルティングにご相談ください。
まとめ
起業して間もない「アーリー期(アーリーステージ)」について特徴を紹介し、有効な資金調達方法をまとめました。アーリー期にはまだ実績が出ていないことから、資金調達で困る経営者の方も少なくありません。とはいえ、手をこまねいていては赤字が増える一方です。
ブルック・コンサルティングは、アーリー期の企業でも、資金調達のご相談に丁寧に応じています。特に補助金や助成金のサポートなどを得意としていますので、ぜひお気軽にご相談ください。