起業に向けた準備をしている期間には、提供するサービスや商品の準備にも忙しいと思いますが、資金調達も大きな課題になりがちです。開業して実績を積めば融資や投資も受けやすくなるでしょうが、実績が無い段階で利用できる資金調達方法は限られているからです。
そこでこのコラムでは、シード期と呼ばれる開業準備期間に利用できる資金調達方法をわかりやすくまとめます。これから起業を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
シード期とは
シード期とは、起業することを目指して準備している期間のことです。
ビジネス手法の検討や市場調査など、開業前の準備を行うシード期は非常に重要です。準備が不十分なまま、勢いや見込みで会社を起こすと失敗につながることも多いので、起業後に安定して利益を上げるためにもこの時期にしっかり準備をしておく必要があります。
しかしその一方、シード期にはサービスの提供や物品の販売などが始まっていないので、売上や利益は発生しません。そのため、資金的に難しい時期でもあるのです。
シード期に資金調達が難しい理由
シード期には、商品の試作や市場調査、事務所や人材の確保などでそれなりの資金を必要とします。しかし、企業としての実績はまだありませんし、商品やサービスに自信はあっても、市場からの評価は受けていない状態にあります。そのため、金融機関からの融資や、投資家に着目される対象になりにくいことがほとんどです。
金融機関から見れば、返済の見込みがない事業に融資することはできませんし、投資家はリターンが見込めなければ投資はしません。
このような理由から、シード期は資金調達が難しいことが一般的です。
シード期に適した資金調達方法
ここからは、シード期に利用しやすい資金調達方法を具体的に紹介していきます。
補助金・助成金の利用
国の省庁や地方自治体は、新規に起業することを促進するためにさまざまな補助金や助成金を運営しています。また、民間団体や公益団体、企業などが特定の分野の発展を目指して運営している場合もあります。
申請するには書類作成の手間はありますし、資金は後払いであることも多いのですが、補助金や助成金は返済の必要が無いという大きなメリットがあります。
企業などが運営する補助金や助成金の場合は、評価されることで業界の話題になりますし、人脈の増強や開業後のアピールにも役立ちますから資金調達以外のメリットも得られます。
そのため、資金力に乏しい状態であるほど、補助金や助成金はおすすめしたい資金調達方法です。
また補助金や助成金は、シード期だけでなく開業直後のアーリー期に利用できるものも数多く存在します。ぜひ、資金力が乏しい時期にこそ、返済の必要が無い補助金や助成金を積極的に利用し、開業後のスタートダッシュに繋げましょう。
銀行からの資金援助
融資を受ける場合は、銀行や日本政策金融公庫などの、金利が低く安全性が高い金融機関をおすすめします。企業としての実績が無い状態ですから、思うように資金調達できないケースもありますが、シード期に積極的に融資をしてくれる銀行も存在しています。
各金融機関には企業向け融資の担当者がいますから、起業に向けたプランや必要な金額を相談しながら資金調達を進めましょう。
投資家からの資金援助
シード期であっても積極的に投資してくれる投資家は存在しており、このような人たちはエンジェル投資家とも呼ばれています。エンジェル投資家の多くは、起業経験を多く持っていたり、人脈が豊富だったりするので、単に投資を受けるだけでなく経営上のアドバイスを受けられることも少なくありません。
とは言え、投資家は善意で資金を出してくれるわけではなく、あくまでも将来的に上場した際に株式を得るなどのリターンを望むことが基本です。そのため、大きな利益を出して株式上場を目指すようなプランが無い事業への投資は期待できません。
投資家としては、シード期に投資することはリスクと隣り合わせなので、あまり高額の投資は期待できません。また、場合によっては経営に介入しようとする例や、経営自体を乗っ取られてしまうケースもあります。そのため、ビジネスパートナーとして相互に良い関係を築きあうように注意しましょう。
さらに、エンジェル投資家とのマッチングを行う会社やサイトの中には、費用だけ取っておきながら有効なマッチングをしてくれない悪質なものもありますので、十分に注意してください。
計画的な貯金
必要な金額を試算したうえで計画的な貯金をすることや、現在持っている預貯金を利用することも有効です。ただし、十分な預貯金があればともかく、私財をすべてつぎ込んでしまうと起業後に思うような利益が上がらない場合に大きなリスクを背負うことになります。
業種やサービス内容にもよりますが、優良な企業であっても事業をスタートした直後にはなかなか利益が出ないことが多く、最悪の場合生活に支障が出るかもしれません。
そのため、開業のために貯金を使うとしても、余裕を持っておくことや、他の資金調達方法も確保しておくことをおすすめします。
シード期に円滑に資金調達するためのポイント
シード期はまだ事業の実績が無い状態ですから、投資家や金融機関にとって、客観的な評価がしにくい特徴があります。そのため事業計画がしっかりしていることは資金調達に欠かせません。
商品やサービスの魅力を語ることはもちろんですが、ターゲットの絞り込みや利益回収の見込み、必要な資金の試算などを、わかりやすくしっかり資料にまとめることが非常に重要です。
投資を得るためのプレゼンフォーマットはネット上に多数あるので、積極的に利用しても良いと思います。しかしその一方で、投資家はさまざまなプレゼンを見慣れていますから、フォーマットに乗せるだけでは十分なインパクトが得られない場合もあります。そのため自社なりの工夫を凝らすことや、質問を受けたときにまごつくことが無いように、数値的根拠を徹底して掘り下げておくことなどをおこたらないようにしましょう。
ブルック・コンサルティングがサポートできること
ブルック・コンサルティングは企業の財務や経理のサポートを多数行ってきた実績を持っており、これから起業するというシード期の企業に対してもさまざまな相談に対応しています。
当社は特に資金調達の分野を得意としており、補助金・助成金獲得のお手伝いも多数行っています。また、開業直後に売掛金は合っても現金が無いといった場合のファクタリングのサポートも可能です。
まとめ
起業の準備をしているシード期について解説し、その時期の特徴をまとめました。
シード期にはまだ事業の実績が無いため、融資や投資などによる資金調達をしにくい実情があります。そのため、利用できる補助金や助成金があれば積極的に申し込むことが非常に重要です。補助金や助成金は公的機関が運営しているので安心感がありますし、返済の必要が無い点で、資金力が弱いシード期の大きな助けになるからです。
とは言え、「開業の準備に追われて書類作成の時間が取れない」、「書類作成が苦手」、「商品やサービスの充実に集中したい」という経営者の方も多いでしょう。そんな時には、補助金・助成金のサポートを得意とするブルック・コンサルティングに、ぜひお気軽にご相談ください。