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資金調達(スタートアップ)のためのピッチ資料とは?作り方を説明

近年、起業時の資金調達を試みる際に、「ピッチ資料」を用いることが増えています。このコラムでは、ピッチ資料がどんなもので、どんな効果や目的があるのかを解説し、作成のための要点をわかりやすく説明していきます。

資金調達のための「ピッチ資料」とは

そもそも「ピッチ資料」とは、わかりやすく言うと資金調達のためのプレゼンテーション資料です。

「ピッチ」とはアメリカのシリコンバレー由来の言葉で、新しいアイデアを売り込みたいときに「ピッチイベントを開催する」といった形で行われています。

ここで解説する、資金調達(スタートアップ)のためのピッチ資料は、投資家に向けて新事業の概要をポイントごとにわかりやすく解説し、資金を獲得することを目的としています。

ピッチ資料を作る目的

スタートアップ時にピッチ資料を作ることには、複数の意味があります。まず、これから始める事業に関心を持ってもらうこと、事業の内容を理解してもらうことに力を入れ、資金調達につながることが最終的な目的です。

従来行われてきたプレゼンテーションでは、詳しく伝えるためにスライド上に多数の情報を盛り込むことが多く見られましたが、ピッチ資料はポイントを1行で書くなど、できるだけ簡潔に作ることで伝わりやすくすることが重視されています。

目的別のピッチ資料の種類

今回の主題は資金調達に向けたピッチ資料です。一方、単に「ピッチ資料」という場合、メディア向けのものやマーケティング用のもの、人材採用に向けたものなどがあります。

ピッチ資料に盛り込まれる基本的な要素(スライド)

ピッチ資料は複数のスライドから構成されます。ここでは基本的な要素を紹介し、スライドごとにまとめていくためのポイントを説明します。

ピッチ資料を作るにあたって利用できるフォーマットは世の中に多数あるので、何となく作ることはできるでしょう。しかし、漫然と作った資料では、多くの場合望む資金は得られません。まず伝えたいことを明確にして、ストーリーをしっかりと組み立て、見る人の興味をそそるようにデザイン性を重視するなど、工夫を重ねないと、多数のピッチ資料を見続けている投資家の関心を得ることはできません。

これは単純に画像や見せ方に工夫を凝らせばよい、という意味ではなく、いかに投資家に響くかが重要と考えてください。

表紙

表紙は、これから何についてアピールするのかを簡潔に伝える必要があります。

構成としては、まずタイトルをわかりやすく表記することは必須です。アピール内容に専門的なことが含まれていても、ピッチを見る相手は専門家ではありませんから、誰にでもわかることと、興味を引くことに力を入れましょう。

さらに、企業名や企業のロゴを入れることも必要でしょう。それ以外は特に何も入れないスライドもありますし、内容に関連する写真を添える場合もあります。

顧客が抱える問題(課題)

表紙の次に見せるスライドなので、興味を引くために非常に重要なスライドです。顧客(世の中)にどんな問題があるのかを具体的かつ簡潔に伝えることを意識しましょう。

その問題を解決するアイデアを次のスライドで紹介するので、単に問題提起するだけでなく、自社のアイデアや商品が問題を解決することに役立つ、というストーリーを踏まえることが大切です。

具体的な解決策

前のスライドで問題点を提起しているので、その伏線をしっかり回収する見せ方で解決策を提示しましょう。

この部分が自社の商品やサービスの価値をアピールするチャンスです。わかりやすく簡潔に、かつインパクトをしっかり伝えましょう。

トラクション

「トラクション」という言葉は、一般には「引っ張る」、「けん引する」といった意味で車両などの分野でよく使われますが、ビジネスの分野では現状の実績や成長の可能性を示す言葉として登場します。

トラクションとして現状の数値を示す場合は、「顧客が抱える問題」の前に提示する手もあります。業績値については定量的にわかりやすく表現することにこだわりましょう。

市場規模と想定される売り上げ

ここではエントリーする市場の規模やターゲットの現状を明確にしつつ、自社の新商品や新サービスでもたらされる売り上げや利益を明記しましょう。

いかにアイデアが素晴らしくても、利益が出なければ投資の対象にはなりませんから、参加者が興味を持つ重要な部分です。

主な競合と自社の強み

エントリーする分野にどのような競合が存在するのかを明示して、自社の強みをアピールすることを目的とするスライドです。文字で描写する手もありますが、ポジショニングマップを使えば一目で理解できるメリットがあります。よほどの新商品でなければ競合がいないことはあり得ないので、この部分を雑にすると市場調査が不十分であるか、不都合な事実を直視していないと思われ、信頼性がないと評価される可能性もあります。

また、自社の強みは裏返せば欠点になる可能性もあるので、そこまで考えてピッチに臨みましょう。

ビジネスモデル

どのような顧客から、どんな過程で、どのタイミングで利益を得るのか、などの収益モデルを明確にしましょう。

チーム

紹介した新たなビジネスや新サービスを率いる経営者やキーマンを紹介し、このチームでこそ成功や利益を生み出せるという根拠づけを行います。

スライドとしてはシンプルに作ることが重要なので、画面に出てこないメンバーもいるでしょうが、必要に応じて口頭で紹介するなどの工夫も必要です。

資金調達計画と資金の用途

紹介した事業にどの程度の資金を必要としているかを打ち出し、資金調達計画や資金をどのように使うかを解説します。場合によっては、バリュエーション(企業としての価値)や株式をどのように放出するかなども記載して、具体的に方向性を示しましょう。

【補足】必要に応じて追加すべきコンテンツ(スライド)

ここまでは最小構成と言える9種類の要素(スライド)を紹介しましたが、事業の形態やアピール内容によって以下のスライドを追加しましょう。

・会社概要や沿革
・エグゼクティブサマリ(事業の概要)
・考えられるリスク
・事業のミッション(使命)やビジョン(実現後の予想図)
・製造や販売など、事業の流れ
・マーケティング戦略
・キーとなるパートナー企業
・自社の財務情報
・自社の成長計画
・結論やまとめ、成果の強調
・想定質問と回答

ブルック・コンサルティングがサポートできる事項

スタートアップ時の資金調達はピッチの出来栄えにもよりますが、タイミングが悪い場合や投資家にメリットを使えきれないことでうまく資金を得られない可能性もあります。

そんな時はぜひ、さまざまな方法で資金調達をサポートするブルック・コンサルティングにご相談ください。ブルック・コンサルティングは多数の企業への資金調達をサポートしてきた実績があり、助成金・補助金を得るためのサポートのほか、早期に運転資金を得るためのファクタリングを紹介することも可能です。

まとめ

近年スタートアップ企業の資金調達のカギとなっている「ピッチ資料」についてまとめました。ピッチ資料の意味や目的、スライドの要素やポイントをわかりやすく解説しています。これから資金調達に向けてピッチ資料を作成するという際にぜひご利用ください。

また、ピッチによる資金調達で思わしい結果が得られなかった場合は、資金調達サポートを得意とするブルック・コンサルティングにお気軽にご相談ください。

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